「私の人生にタイトルなんて必要だろうか?」
もとは舞台だったそうで、デリヘル嬢の待機部屋が中心の会話劇。
世の中、エロと金。
底辺に落ちて落ちて落ちぶれても下には下がある。
風俗というと「下」に見られがちですが、じゃ、風俗をこの世からなくしますか?というとそれはないと思います。
この映画はきれいごと一切言わないので、すがすがしいくらいです。
伊藤紗莉演じる加納は、デリヘル嬢にもなれず就職難でデリヘルの下働きをしている。
伊藤紗莉を主人公にした、というのがこの映画のいい所で、世の中、美人の方がどこの世界も得。
伊藤紗莉は決してブスではないのだけれど他に綺麗な人はたくさんいるという微妙なラインの上に立っている人だと思います。
ドラマの『いいね!光源氏くん』でも妹の方が断然美人という設定です。
人間の嫌な部分をこれでもか、と見せつけるので不快に思う人もいるかもしれないけれど、世の中、綺麗ごとだけじゃ、やっていけない。
清濁併せ吞む、という言葉通り。
伊藤紗莉、片岡礼子などの他に恒松裕理が出ていて、いつもきゃらきゃらと笑っている売れっ子デリヘル嬢を演じています。
恒松裕理といえば『くちびるに歌を』の合唱していた中学生、『高校生の無駄遣い』でヲタ役だった高校生が、とうとうデリヘル嬢を、と感慨深く。
いつもわざとらしく笑っていて決して弱音を吐かない所が強いし、そういう役がまた合っているからやはり只者ではないのでした。
なんとなく観終わった後の虚しさが『愛の渦』の時のよう。
私は嫌いになれないですね、この映画。