1962年、台湾政府による言論弾圧の最中にあった台湾を舞台にした学校ホラーです。
原作はゲームとのことですがこちらの映画だけでも充分話は楽しめると思います。
拷問を受ける青年の悪夢と1人の女生徒が暗く荒廃した学校で目覚める冒頭、まずは謎から提示されて校内を探索するにつれ2人の曖昧だった記憶が鮮明になっていくミステリーのような展開は確かにゲームを彷彿とさせました。
しかし、弾圧の歴史を刻み込みように「決して忘れない」と繰り返されるセリフとあいまって、当時の過酷な世情にさらされた人々の現実的な痛みが伝わるようでもあり、ラストのウェンとチャン先生の牢獄での会話は涙が出ました。
ホラーとして見た場合、シチュエーションや雰囲気などがとても好きではありますが、非常に怖いという程ではないです。
ただ、物足りない怖さを補ってあまりある物語の濃密さがあり、みごたえのある映画に仕上がっていて最後まで惹きこまれました。
不勉強で恥ずかしい限りですが、台湾政府が中国共産党を排除するために戒厳令の名の下に言論弾圧やスパイ密告の推奨、そして、拷問や処刑を行っていたことを知らず衝撃的でした。
自由という言葉とその意味を改めて考えさせられる作品でもありました。
