ハシビロコウ

プリズン・サークルのハシビロコウのネタバレレビュー・内容・結末

プリズン・サークル(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

人間扱いもしないのに、人間になれといってもそりゃ無理で、自分の心のうちが周囲に受け止められたと思えた時に、心が受肉するんだよな。

この映画では加害者の更生に焦点があたってるので感情移入してしまうけど、もちろん彼らがTCで、時に苦笑交じりで語る犯罪には実在の被害者がいる。
そのことを考えながら見ないと、被害者に無関心な観客になってしまうし被害者にとっては不快に決まっている。
この映画を、ダメージ少なめで見れるのは、自分が犯罪被害者でも犯罪加害者でもないからだ。

それにしても、受刑者の生活ルールを見ていると、一体全体なんで受刑者の生活ルールはこんな不条理を煮詰めたようなものになったのか?と考えずにはいられない。
私語禁止はまだしも、大声での点呼、ブリキ人形のような歩き方、刑務作業中のよそ見禁止などなど…
罰と言うにはあまり溜飲が下がりそうもなく、更生のためというには社会とかけ離れた生活習慣過ぎてどう受け止めたらいいかよくわからない。
これらの生活ルールは、国民皆兵時代に、受刑者を再び兵隊として使えるようにするためのものだったとしか思えないんだけど、ほかにあるのかな?
ないとすれば、今の社会に戻すための生活ルールを敷くべきだと思う。
人間性や社会性を損なわせることだけを刑務所で行うなら、刑務所から出た人間が再犯しやすいのは当たり前だし、むしろ刑務所が被害者の再生産に加担するという構図になってしまう。
それを支えているのが有権者なら、犯罪者を再び犯罪者として自分たちの社会に産み落とす仕組みを回し続けていることになる。
この不条理やいかんせん。