ましゅー

リチャード・ジュエルのましゅーのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.0
言うまでもない、クリント・イーストウッド40作めの監督作品にして、1996年アトランタオリンピック100周年記念公園爆破事件の第一発見者が陥った冤罪容疑の実話を元にした映画。
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まさに待望の作品です。

今週末は観たい映画が最低でも3本はあり、近隣シネコン3+1=計4館の上映スケジュールとにらめっこ、加えて自身の置かれた状況を冷静に見極め、一発めにこいつを選びました。
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イーストウッド監督作品に間違いはない --- 私の持論です。もう信じて止みません。観了後、その想いを改めて強くしました。
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作品内で焦点の当てられたリチャードは正義の心を持った人。多少それが行き過ぎるきらいがあったり少々短絡的な思考や発言はあるが、ちょっと見た目が肥満がちだったり33歳になっても母親と二人暮らしだからと言って、謂われもない容疑をかけられていい筈がないに決まってるじゃないですか。
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イーストウッド作品は熟練の演出(決して派手過ぎず、さりとてツボを押さえた起伏も盛り込みつつ)と王道の語り口で、リチャード・その母親ボビ・彼を唯一人間扱いし対等な立場で全力のサポートをする弁護士ワトソンとその秘書、皆の人間性を丁寧に見せ

冤罪容疑を検証もせず諾々と垂れ流すマスコミだけでなく、何より事もあろうか厳然たる法の執行者であるはずのFBIを

功を焦るあまり極めて安易なプロファイリングと、リチャードが手玉に取りやすそうと見るや違法な(訳分からんうちにサインをさせようとするとか、真犯人と同じ言葉を言わせて録音するなんて完全にそうですよね❗)捜査で、彼を犯人としてでっち上げようとする、真の正義とは程遠い存在としてしれっと描き

ジュエル親子達が極めて苦境に立たされる様からの、ワトソンの「反撃に出るぞ」の一言。もう涙と痛快さと暖かい余韻しか後は残ってないじゃないですか❗
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繰り返します。

この作品はもう間違いありません。

老いてなお、不当な権力の圧力に屈せず静かなる闘志でそれらと戦う人間性を、ともすれば淡々と、しかしながら内に秘めた熱さで着実に描ききる、イーストウッドの老練のストーリーテリングに酔いしれるしかないのであります。
ましゅー

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