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ラーヤと龍の王国のTEPPEIのレビュー・感想・評価

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)
4.7
劇場ディズニー・アニメーション作品の59作目である「ラーヤと龍の王国」。これまでのディズニー作品に比べるとかなり異色であり、ニューヒロイン・ラーヤの大冒険をワクワクなしに観ることは出来ないことを約束します。

このコロナ禍をよそに、ディズニーがオリジナリティ溢れる独特な世界観を堪能させてくれる。かつて大国であったクマンドラ。その平和な国にドルーンという魔物が現れ、伝説の龍たちが国を死守したにもかかわらず、人間たちが龍の力を秘めた魔石をめぐり国はバラバラに。5つの国に分かれ、その一つの王国であるハートの姫であるラーヤの冒険物語。

まず見た目も考えも違うもの同士の私利私欲の争いというダークなトーンが現代を投影しているのも興味深いが、このフルファンタジー要素を全くRPG感なしに、面白いストーリーとキャラクターたちで成立させる映画の力が凄まじい。今作の主人公であるラーヤを筆頭に、それぞれの登場人物たちが成長し、克服し、理解する様は残念ながら現実ではすぐに実現できそうなものではない。しかしながらこの作品は信頼の重要さを知るきっかけになることは間違いない。
奥深く、王道。実にバランスがいい映画で、興味をそそるクリーチャーたちや世界観に没入してしまう。なんと言っても、映像がもはやアニメーションを超え、実写にすら見える素晴らしい映像美。

テンポもいいし、ストーリーも面白い。本作ではこれまでのディズニーにはなかった、荒ぶる肉弾戦やソード・アクションも堪能できる。ラーヤという、強く、キュートなキャラクターは最後まで応援したくなる。
声を当てたケリー・マリー・トランと、ともに冒険する龍・シスーを演じたオークワフィナのコンビはめちゃくちゃ楽しい。どんだけ楽しく演じているのか伝わるし、元々代打として登板したケリー・マリー・トランは両親がベトナム難民だったバックグラウンドも持っていることもあって、この映画のストーリーには響くものがあったはず。それが彼女の熱演の秘訣かは定かではないが、「最後のジェダイ」でも印象に残してくれた名演は、今作でも健在だ。

久々にディズニー映画大作を楽しめた。
日本のディズニー配給部門は同日ディズニー+とか、日本の映画業界では違反スレスレというかほぼ違反なことしてないで、こういう大冒険活劇をもっともっと劇場で体験してもらおうぜって心底思った。
総評として、近年のディズニーに見受けられていたが、「ラーヤと龍の王国」は行き過ぎたリベラリズムを押し付けることなく、王道さと新鮮さのバランスが上手く整った楽しい冒険映画である。
トゥクトゥクってやつ、可愛すぎだろ。欲しいわ、出勤する時乗って行くわ。猫バスと共演してほしいわ。
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