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ブータン 山の教室のQvQのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
3.9
これはなかなか、やられたなと思う作品でした。
自分がどっぷり浸かってる現代生活をそれってどうなんだと割と直球で問われた気がしました。

同じ地球のことなんだけど、こういう暮らしをしている人がいることを割と忘れて暮らしていて、豊かとか幸福とかいうものさしでみたら何だか今の自分の暮らしが全然そうでもないことに気付かされるというか。

もちろん、便利な生活がもたらしてくれることは山ほどあって、それに浸かってるともう手放せないものはいっぱいあるし、僻地で暮らす人には人なりに貧しくて過酷な環境下での暮らしの辛さや教育の機会が得られにくいなどの悔しさなどもたくさんあるとは思う。それは天秤にかけるようなものでもなくて、どっちにも良い悪いが混在するものだとは思うんだけど、人類が本来正しく生きるとすればきっとこっちなんじゃないかなと。地球規模でこの大事な星を本気で守ろうとするなら、きっと人類はこの暮らしに戻るべきだ、と。

物語自体の感想としては、教師の彼はきっと自分のなすべきことが都会生活では見えていなくて、村に行ったことでそれはたぶんクリアになったのではないかなと思いました。だからラストの展開、きっとその後彼は村に戻ったか、それを踏まえて自分の生きる道を探ったかかなと思うんだけど、どっちにしても自分が村に行く前に描いていた夢は色褪せてしまったんだろうなとは思いました。

子どもの真っ直ぐな目はちょっと汚れてしまった大人にはとても眩しいです。それにあの風景。やっぱり都会生活者にはあれは眩しすぎます。

心豊かに生きるとは何だろうと、わりと素直に考えたくなる映画だったかなと思いました。
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