むぎちゃ

ようこそ映画音響の世界へのむぎちゃのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
3.4
学生時代、同級生と『映画において重要なのは映像と音、どちらなのか』で激論を交わした覚えがある。
間違っていた…程には思わないが、音派だった彼には言いすぎたかな~と今なら思える。

「この映画のこの音はこういう風に作られたんだよ~」がメインではなく、映画の歴史とその陰に隠れがちだった映画音響の歴史を辿る内容。

映画の制作ラインありきで作品が作られ続ける件は興味深い。ストックされてるトラックに見合う映画を作るとは、何たる本末転倒。似たり寄ったりな映画を量産した結果、時代性も相まってハリウッドはお馴染みの暗黒時代へ…。

偉大な監督は冒険家である…は、作中の言葉。
書類とそろばんしか見ていない会社の重役様どもから無価値な扱いを受け続けていた音響に、映画表現の高みを見出した監督たちは次々と新しい時代を作り上げた。

そのひとつにスターウォーズが挙げられていた。結果を先に知っている我々からしたらその先のヒットも承知だが、当時は「さ、田舎帰って理科の教師にでもなって生活するか…」みたいな覚悟を決めてたのは面白かった。
新しい時代の幕開けはその幕が上がるまで当人たちには不安しかないんだなぁ。

他に印象深かったのはトップガンの戦闘機。
本物のジェットエンジン音は地味だったからトラやらサルやらの動物の鳴き声を混ぜたって話。
リアルとフィクションの境というか、本物なんだからそれ以上はない…なんて事はなくてあくまで映画なんだからって事なんですな。


…が、この映画はとても楽しめたし、興味深い話も沢山だったけど、べつにNHKで深夜とかにやっててもおかしくないような内容だったし、100分に1,900円を払って観る価値があるかどうかは微妙なところだったな…。
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