明月

すばらしき世界の明月のネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

すばらしき世界。
このタイトルが意味するところは何か?を考える。

三上や、下稲葉や、風俗で働く女性や、アベが、生きにくいのは、彼らのせいなのだろうか。


===
旭川刑務所。
13年振りに出所をする三上。
今でも判決を不服に思っているというが、極道の抗争に巻き込まれて若者を殺したらしい。

「俺はもう極道じゃなか。今度はカタギじゃ」と出所のバスの三上。


三上の「身分帳」を手にしてる男、津野田。
テレビ制作会社を辞めて小説家を目指してる。
母親を探して欲しいとテレビ局に送られてきたらしい。

上野駅。
三上と身元引受け人の弁護士。
すき焼きを食べている。
養子縁組のニュースを見て、
「母は自分を迎えに来てたはずなんです。それを待たずに施設を飛び出したのは自分なんで」

三上の身分帳。
私生児。母は芸者。父に認知されず、戸籍なしで育つ。
4歳で児童養護施設へ。母と離別。
14歳で関西の暴力団へ。
16歳で少年院に入る。

生活保護の申請をする三上。
病気があるため、働けない。
反社の人ははじかれます、と役所の人間。
役所で倒れる三上。
血圧が高い。
病院に、津野田がくる。

三上の引越し。
古ぼけたアパートに。
ミシン。
器用にミシンをあやつる三上。
弁護士の妻にカバンを作ってあげる。
剣道の防具を作る仕事がしたいと言う三上。
内職でできるからと。

「そんな仕事、いまどきある?」と津野田と奥さん。

1人の暮らし。
玉子ごはん。
ゴミ出し。
スーパーで買い物。
ミシン。
カーテンつくり。
日曜大工。
病院で。
「安静にしましょうって言いましたよね?」と医師に叱られる。

夜中に、若者の騒がしい声。
ゲームをやって大騒ぎしている。
三上が、静かにしてくれと言いに行く。
1人の若者が、イキがってケンカを売ると買う三上。しかし、若者はビビって慌てて逃げ出す。

剣道防具店に電話して、仕事を探すが、「どこで修行したの?」と聞かれて刑務所だとばれると、電話を切る。

生活保護の家庭訪問。
整理整頓はしこまれたからと、きれいに暮らしている。
働きたい気持ちがあるが、なかなかうまくいかない。
携帯を持って良いと言われ、つながりを持つことが大事と。
「はい」と笑顔。

津野田の取材。
ヤクザに世話になるのに、罪の意識はないのか?と聞く津野田に
「ないね。自分を褒めてくれる人のそばにいたいと思うもんでしょ」

免許の再取得にいく三上。
失効から3年以内でないとできないとすげなく断られる。
1人の女性。

13年前の裁判。
ホステスの引き抜きで妻に難癖つけてきた組員を追い払いたくて、
揉め事になり、相手を11回刺した。
10年一緒に暮らして、子供を作ろうと話していた。自分の家族が持てるところだった。

団地を訪ねる三上。
3年生の女の子。

帰り道。
スーパーで会計が済んでないものがあると引き止められる。
色眼鏡で見られる三上。
短気を起こしそうになるが、グッとこらえる。
「お詫びの品です」と忘れ物を持って追いかけてくる店長。
親父と言葉が似てると、故郷の話。

運転免許のテキストをみて、
「免許があれば、運送会社を紹介できる」と言ってくれる店長。
打ち解ける2人。

免許センターの試験。
慌てて、ワイパーだしたり、黄色で突っ切ったりしてしまう。
「男性が稼げる」のチラシに電話してみる三上。

津野田とテレビ局の女性が訪ねてきた。
焼肉を食べに行く。
社会のレールから外れた人が更生していくのを番組にしたいと言われる。

道端で絡んでる若者2人に、声をかける三上。
殴り合いの喧嘩しはじめる。
カメラを回す津野田と女性。
途中で逃げ出す。
「お前、終わってんな。カメラ持って逃げてどうすんのよ!
カメラ回さないなら、体張って止めなさいよ。
止めないならカメラ回して伝えなさいよ。
あんたみたいのが、1番誰も救わないのよ!」
と怒りをぶつけるテレビ局の女性

スーパーの店長に、テレビに出るというと心配される。
地道に生きるんだよ、と諭される。
「偽善者とつきおうきはなか!」と短気を起こす。

資格のために、30万以上かかる免許の費用は出ないと言われる。
津野田に電話して、前借りを頼むが、
人をぶちのめすのをやめられない三上をテレビに映すことは出来ないと断わられる。
なぜ、暴力に訴えてしまうのかと聞かれ、生い立ちのことを言われて、「お母さんは、本当にあんたを捨ててないと思ってるんですか」と電話を切る三上。

電話番号。
下稲葉に電話する。
「あとんことはなんも心配せんでええけん」
と言ってくれる。

迎えがきて、風呂に入る三上。
女の人がいる。
地震があった後からこの仕事を始めたという女性。
男の子がいると話す。
「お母さんやね」

三上のアパート。
訪ねてくる津野田。

海。
広い和室で寝ている三上。
歓迎してもらって言葉も無いという三上。
「きょうだいがここにおるやろ」と下稲葉。
片膝から下がない。
車椅子で移動している。
糖尿で足を切り落としたという。
昔のきょうだい分の前で見栄を張りたかったんやね、とねえさん。

持ち逃げした若い衆を捕まえに行ったら警察に通報されたという。ヤクザで生きていくのは難しい。
「カタギになるのは難しか。」とだから極道に戻ってしまうんですかねぇ。

津野田から電話がくる。
「お母さんのことですよ」と名簿を探してくれるらしい。
下稲葉の家に、警察がきている。
「あんた、これが最後のチャンスやろうが!シャバは我慢の連続ですよ。じゃけど、空が広いていいますよ。
三上さん、ふいにしたらいけんよ」とねえさんがお金を持たして逃がしてくれる。

津野田とカメラなしに、施設まで。
お母さんを見送った記憶。
「お母さんが見つかったら、何話します?」
お産の時の話を聞きたかね、と三上。

先生と話してる老婦人。
当時の名簿は、10年前に焼却されていた。
老婦人は、田村さんと言い、当時手伝いに来ていた人らしい。
オルガンが弾けたから、子どもたちが歌を歌う時に伴奏していた。
園歌を口ずさむ三上。

園庭で子どもたちとサッカーする三上と津野田。
ゴールを決めた子どもを抱き上げて泣く三上。

風呂に入る三上と津野田。
津野田が、三上のことを書くという。
だから、もう元にもどんないでください、と背中を流す津野田。

ケースワーカーがくる。
免許の件は上司を説得できなかったと謝る。
過去を受け入れてくれるところで働いてみませんか?と。

スーパー。
「仕事きまった!介護施設の見習い」
「すごいじゃない👏良かったね!」と喜んでくれる。
働いてちゃんと返してよ、とお金を貸してくれる。
残りを弁護士の先生が貸してくれることに。

空が広い。

「三上さん、就職おめでとう」
ささやかなパーティ。
津野田、弁護士先生夫妻、店長が集まる。
人間が真っ直ぐすぎるのよね、と理解してくれる人たち。
逃げてこそ、次がある。
「皆さんの顔に泥を塗るような真似はいたしません」
自転車のプレゼント。

自転車で、通勤する三上。
介護施設で清掃、スタッフ補助、時給990円。
免許をとるために、訓練所にも通っている。

一緒に働いている子がいじめられているのを見て、モップで殴りかかろうとするが、グッとこらえる。
お腹を抱えて薬を飲む三上。

三上の裁縫。
縫い目がきれい。
障害があるアベが、ミスをしたことをからかい話す職員。
刑務所にいたとか、暴力団にいたとか話している。
三上は黙って針仕事をしている。


台風が来そうな中、外で仕事してるアベ。
三上は、コスモスをもらって帰る。

久美子から電話。
「職場の人らと揉めたりしとらん?」
娘と一緒に、昼ごはんでもご馳走してと話す久美子。
笑って話をする三上。

刑期満了で出所した三上正夫。
これまでの人生の28年間を刑務所で過ごした。
もう二度と刑務所には戻りたくないと胸に誓って、、、

嵐の中、倒れている三上。
コスモスの花を握りしめてる。

救急車が来てる。
津野田が三上を呼ぶ。
「この後、行政解剖ですので」と遮られる。
ケースワーカー、店長、弁護士もきている。

空は広い。
明月

明月