ひでやん

カサノバのひでやんのレビュー・感想・評価

カサノバ(1976年製作の映画)
3.9
18世紀のヴェネチアと周辺地域を舞台に、性豪として有名なジャコモ・カサノバの波乱に満ちた生涯を描く。

数々の女性と浮き名を流した伝説のプレイボーイ、カサノバ。彼が遺した自伝によれば、1,000人の女性と肉体関係を持ったという。

そんな男の女性遍歴を描いたら、生々しくエロティックな濡れ場ばかりになると思ったが、フェリーニが描く独特の世界観にそれは感じられなかった。

しなやかで艶かしく絡み合う官能的エロスではなく、機械的な一定のリズム。手際よく目の前の仕事をこなすような、どこか事務的な動きに見えた。

その最中、羽をパタパタ動かし、上下する黄金の鳥はいったいなんだ?

シーンが変わる度に女が変わる。まるでオムニバス。修道女、初老、巨女、老若美醜なんでもござれ。もう片っ端から誰でも愛して、そしてまぐわう。

女によって自殺を考え、女を見て自殺を忘れるカサノバ。精力絶倫競争に勝利するカサノバ。ここまでくると天晴れ。

カーニバル、宮廷、貴族社会、オペラなど、1シーン毎にフェリーニの演出に魅了された。

壮大なセットと豪華絢爛な衣装、装飾品、メイク、美術、それらが絵画的構図で描かれ、美しい色彩の絵になっていた。
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