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静かなる男のzhenli13のレビュー・感想・評価

静かなる男(1952年製作の映画)
4.0
持参金がどうの私の家具がどうのとしつこくわめくモーリーン・オハラに正直イライラし(金と自分の夢の亡者では?ジョン・ウェインは彼女が美人じゃなかったらこんなに執着しただろうか?)などと思ったが、クライマックスは素晴らしい群集劇となる。
ロングショットでのイニスフリーの風景とわーわーとついてくる村人の群れを見てるだけで可笑しくいとおしくなる。

西部劇のジョン・フォードしか知らなかったので、イニスフリーのロケーション撮影にジョン・フォード作品であることを時々忘れる。
ジョン・ウェインが汽車で到着した序盤の、風景と客車の緑。モーリーン・オハラのぱっきりした青いシャツと真っ赤なスカートと白いエプロンが、ロングショットで牧草と羊の群れの中にうねる。
ウェインが彼女の腕を掴み抱き寄せた瞬間、ばんと扉が開いて大風が吹き込む。

群集劇のラスト。ここまで物語を盛り上げてきた脇役たちめいめいのフルショットが丁寧に映されるところで涙が出た。
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