アカデミー賞を受賞した俳優や監督が次に選ぶ作品は非常に興味があり注目の対象となりますが、受賞者にとっては凄いプレッシャーなのは間違いないと思います。作品の出来次第ではマグレ受賞だと評価を裏返される事もあり、今後アカデミーとは無縁の存在になってしまう事も…作品選びは慎重にならざるをえませんね。
本作はホアキンフェニックスが「ジョーカー」でアカデミー受賞後最初の作品です。
マイクミルズ監督、モノクロの人間ドラマ、子ども、低予算、そしてA24。とても手堅い選択だと思いますが、とりわけ面白い!ってわけでもないし、新しい!ってわけでもありません。ただ酷評するほど粗い作品でもなく、ホアキンフェニックスは上手い具合にワンクッション置けたと思いました。
しかし、私にとっては退屈な映画でした…
ホアキンの演技や子ども達の自然体のような生きている表情、モノクロ映像が醸し出す現実感は良かったんですが、物語があまりピンとこないです。本作は画面上にいる2人の人間が、対話を通して個人や社会を知って行く物語です。「言葉」を「音」で理解するタイプの映画なんですよね。英語が分からない私にはそこに到達出来なかったし、ましてや字幕を読んでいても、ただただ眠くなるだけ…「良い映画」という雰囲気のみ伝わってきますが、それだけではね😓
同じような作品で「ドライブマイカー」があります。こちらも会話劇が中心ですが、その対話のリズムは3時間の長尺を感じさせないマジックがありました。
あと邪道ですが、石井岳龍監督の「生きてるものはいないのか」という映画があります。これは全編物語と関係ない会話が延々と流れているんですが、めちゃくちゃハマったんですよね。
会話劇は理解できる言語でなくてはね💦
で、私は本作を名画座に観に行ったんですが、なんと10数秒程意識が飛ぶ現象が何回も…朦朧とした状態で薄く目を開けていると、モノクロがカラーに見えてきたり、役者が違う人に見えたりしました。後半60分くらいからやっと正常になり集中できたのですが…それでもあまり分からなかった映画です…
でも良かったのは風景がとても美しいんですよね〜市街や海辺、生活感のあるところか自然。どれも物静かな色合いを見せてくれました。もしこれがモノクロじゃなかったらここまで美しくは無かったと思います。
ラスト。これまでずーっとモノクロが続いていたのにエンドクレジットに入る前に、「〜に捧ぐ」的なテロップの時はバック全体が青くなりました。いきなりだったので目が痛かったです😓この瞬間は眠気が一気になくなりましたね笑