タスマニア

サイレント・トーキョーのタスマニアのレビュー・感想・評価

サイレント・トーキョー(2020年製作の映画)
3.5
2020年235本目。

映像表現としてはかなりソフトにされているとは思ったけど、展開や描かれている内容としても、個人的には結構ショッキングだったなーという感じ。

多くの人のレビュー見ても、結構な低評価が多くて「物足りない」というワードが出ていて結構驚いた。
自分は渋谷の爆発シーンのあとは結構心臓バクバクしていたし、ショックに弱い人によっては結構トラウマになる映像なんじゃないかなって思った。
"最悪のシナリオが具体的に頭に浮かんでしまう" という意味で「想像力があって危機感がある」とも言えるし
"最悪のシナリオを常にイメージできていないから、ショックを受けてしまう" という意味で「想像力が足りなくて危機感がない」とも言えるかなとか勝手に思っていた。

とにかくテロリズムを描く作品はいくつか見てきたけど
その多くは自分が住むこの日本ではない異国のことであり
その映像表現と事実に心を痛めながらも、やっぱり、どこか遠い場所の話に感じていたのだなと実感。
そういった意味で、昨日歩いた渋谷の見慣れた光景で繰り広げられる惨劇は結構自分にはショッキングだった。

99分という比較的コンパクトなボリュームで疾走感を出しながら、描かれているのは多分強い思想やメッセージが含まれている内容で、単純なクライム・サスペンスとして見るものではないんだな、と頭で考えながら見ていた。
それでも、前半の様々な登場人物がそれぞれの思惑で動く群像劇的展開は、全体像が全然見えない感じとか含めて、サスペンスとしてワクワクした。
重要人物がスクランブル交差点に集まる展開は、それぞれの思惑や独立した物語が交わる感覚もあり、「そっちもスクランブルするんかーい」とか思ったり笑

あと、勝地涼の「何考えているんだコイツら、死にてえのか」というセリフが印象に残っていて、これが全てだよなーって思った。
「平和ボケ」という言葉が明確に劇中で出てきたけど、YouTuber、野次馬がそういった危機感のなさ故にしっかり制裁を受けているのは・・・国民への警鐘か。

自分はあんな報道が出てる日は全力で渋谷から離れる人間だから、「最低限自分の身は守れそうだな」とかのんきな事考えていたら、最後にあんなメッセージ。肝に銘じます。
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