創

天才ヴァイオリニストと消えた旋律の創のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

そこまで不幸な結末だとは思わないのだけど、えぇ…。ってなる後味の悪さは久々だ!

天才とは言え(故におそらくその後のいろいろも見込んでいただろうとは思いつつ)年頃の子ども、しかも宗教の違う子どもを預かるのも育てるのも大変だったはず。
なのに、お金も取らずきちんとした教育や愛情や信頼を注いだのにこの結果は残酷過ぎやしないか。
事情が事情故にドヴィドルを責めることも出来ず、挙げた拳をどこに下ろせば良いのか分からない。

マーティンが探し続けたドヴィドルやその真実は、個人的な感情由来のもので、
それは父と共に裏切られた悲しみだったり父を無念のうちに亡くす事になった恨みだったり、
ひとりの人間として父の子どもとしてすごくすごく共感できる。
でもだからこそ、時代背景や人種を考えると全然良い結末が待ってる気がしなくて、もう止めようよ。と思う。
ヘレンが止めてくれる度に、だよね!サンキュー!って思ってたのに、あなたも個人的な秘密という事情だったのですか…。という何とも言えないどんより感。

単純に私はそれまでの人生を変えるほどの出来事に出会ってないし、そこまでの信仰心が無いからドヴィドルへの共感や感情移入が難しい。
ご恩は必ずお返しします!精神が染みつき過ぎていてどうして21年前のコンサート終えた後じゃダメだったのか、
どうしてたった一回のコンサートで義務は果たしたと思えるのかがどうしても感情的に理解できない。
いや。分かるよ。家族を亡くした事も神だけに聴いてもらえれば良いと思う信仰も有りだとは思うんだよ。
でも防空壕でのドヤ顔思い出すと、これがドヴィドルの個性なのか信仰なのかがイマイチ分からなくなる。

最後に祈りの言葉を捧げるマーティンの悲しさったらもう…。
ドヴィドル自体への別れ、父の恨みとの別れ、過去に捕われた自分との別れ、そしてもしかしたら…。いや。それは無さそうかな。

邦題がなぁ…。
確かに原題からすぐに結末は想像できたけど、結末が想像できるって雰囲気ぶち壊すほどの問題なのか疑問。
創