このレビューはネタバレを含みます
鈴木邦男の密着ドキュメンタリー。ナレーションが余りにも素人じみていて酷かったです。また、撮影も編集もおよそ商業向けとは思えないレベルでした。
なるほど鈴木氏は人格的にも撮影対象としても魅力がある。元来武闘派でありながら、表面的には転向ともとれる言説に柔和な印象。活動家と言論人として腹が据わっている様子は、コーブ上映反対派とのやりとりからも見て取れます。
しかしこの映画の中においては鈴木氏の思想的背景や思想の核はほぼ明らかにされず、人となりと周囲の近しい人々からの評価のみという、非常に偏った構成。
思想遍歴はざっくりとは理解できるものの、なぜ従来の右翼活動から距離を置いたのかという、重要な点については深く語られません。
赤報隊事件についての歯切れの悪さには強い失望。追及も甘い。邦男ガールズの登場に至っては、おぞましさすら覚えました。盲信者の集まりとしか思えない。
鈴木氏の信者による信者のための映像という中身で、そうでない私にとっては鈴木氏の株が下がっただけの映画でした。