シネマスナイパーF

鬼手のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

鬼手(2019年製作の映画)
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プロモーションではまったく触れられていませんが、神の一手の続編、というかスピンオフ
前作の主人公にとって間違いなく超大事な存在だったにも関わらず劇中姿を現さなかった鬼手男についての外伝
ただ、前作主人公の隣の独房にいたってことになってるんだから、こいつはこの後何かやらかしてムショ行きになるってことでしょ?
そこがまた知りたくなってしまったわ笑!!
ムショ入りはジーザスに盲目用碁盤を与えた後ってことでいいんだよな??うーん

英題見てびっくりしたんですよ
The Divine Move 2
2ってことは前作があんのかと
調べて大急ぎでTSUTAYAで神の一手を借りて予習をしました
話の繋がりはなかったので、前作の名前を出さないマーケティングには納得
下手に続編だスピンオフだと売り込むと、前の観てないから行かないという人が出てきちゃうからな
でも、前作に心を掴まれたファンとして、非常に楽しいスピンオフでした


この世は地獄か遊び場かの二択
前作で飛び出した名台詞ですね
割と序盤で出てきてアガりました
ファーストカットが前作と一緒だしね
状況説明として囲碁用語がかっちょよく出てくる演出も健在
そして袋詰め碁石ハンマーも健在で笑ってしまった
クライマックス、わかりやすく黒い敵陣営に白いジャケットで乗り込んでいく展開も前作と同様で胸が熱い

デコピン目潰しや碁石食わせといった気の狂った描写はなくなってしまいましたが、気味の悪い部屋にいる霊能力棋士、攻撃ギミック付き碁盤野郎などこれまた漫画っぽいブッ飛んだキャラクター達が登場するので心配無用
ただ、ギミック碁盤野郎は明らかに本筋と関係の無い余計なキャラクターで、ただでさえ外伝であるこの作品内でも外伝的おまけエピソードのため、見せ場のための余計な存在になってしまっていてそこは非常に残念

線路囲碁にはびっくりしました
何考えてんねん
前作からそうですが、この映画世界の主要人物たちにとって囲碁は衣食住と同レベルで、当たり前かのように部屋に囲碁セットがあり、状況の判定に使う
展開を毎回囲碁用語で説明するぐらいだから、彼らの生きる世界全体が囲碁のようなものさ、というつもりだと受け入れるのは難しくない
今作は、分が悪くなったヤツが囲碁勝負を投げて武力対決に持ち込む前作の悪い癖が、全部とは言いませんが改善傾向にあり、大体の人間が対局の結果を受け止める
もちろん格闘がないわけではなく、クォン・サンウの身体はキマりすぎだし、ギミック碁盤野郎との悲しきバトルは前作の冷凍庫戦とのいい対比で、さらに上下の空間まで付け足されていて楽しい場面だった
路地裏バトルで壁に顔面擦り続けるのは甘い人生思い出したよ
ラスボスは全く武闘派ではないので、ヤツの言葉通りちゃんと囲碁でやり返しに行く
ラスボス戦での碁石文字には鳥肌
カタルシスやばい


本筋の前作より短く、話としても小さくまとまっているのもスピンオフとしては好印象
この後の話がマジで気になるのでまだまだシリーズ終わらせないで欲しいね
ジーザスが囲碁に出会う話、モクスが片腕を失うまでの悲劇など、知りたい話は山ほどあるんだ
今回の主人公グィスの方が人として無骨でかっこいいから、前作までの話をグィス絡めながら語る方向でお願いします
自ら計算機になることを選んだ、まさに修羅の如きグィスの鬼手に震えろ