踊る猫

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!の踊る猫のレビュー・感想・評価

4.4
ややクドすぎるようにも思った。つまり、この長さは流石にキツかった。だがこの長さあってこそ、ここまで丹念に語られてこその作品だと思うので安直な評価はしたくない。私の妄想になるのだけれど、日本で『ボクたちはみんな大人になれなかった』が公開されたタイミングでこの作品を観てしまうとどうしても類似するメンタリティを感じてしまう。「大人になる」とはどういうことか。いや、手垢がついたテーマであることはわかるのだがその「大人になる」をノスタルジーを込みで表現した力作という意味では両者引けを取らないと思う。手垢がついているが故によっぽど巧くやらないと「負け犬根性」全開の作品になりうると思うのだけれど、そこは神経症的なキャラクターを演じきっているアンドリュー・ガーフィールドの力演で支えられており、もちろん他にも大根はひとりも居ない。『RENT』やその他のミュージカルを楽しみたくなってしまった。過去のフッテージと現在を混ぜたかのような演出もノスタルジーを際立たせ、「今」過去を回顧する作品を作ることについて(どこまで「作り込む」のかについて)考えさせる。
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