銀色のファクシミリ

ドンテンタウンの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

ドンテンタウン(2019年製作の映画)
3.6
『#ドンテンタウン』(2020/日)
劇場にて。駆け出しシンガーソングライターの、現実と幻想、現在と過去が交錯する奇妙な「共同生活」の物語。曇天模様の街での、普通と不思議の混ざり具合が最後の最後までいい感じでした。

のん気そうな主人公ソラ(佐藤玲)の引っ越しから始まり、そのほんわかムードから一転、彼女の葛藤が描かれる冒頭。そして前の住人が部屋に残していたあるモノが、青年トキオ(笠松将)と彼女を出会わせる。

奇妙な「共同生活」が進む中で、ソラは徐々に創作意欲を取り戻していくが、不穏な空気がトキオをとりまいていく。そして大事なことは、ソラが務める喫茶店の常連客が話すので、現実と幻想、現在と過去に加えて、真実と虚構まで加わって、曖昧模糊とした曇天な話が進む。

そんな曇天の話なのに爽快さを失わないのは、主人公ソラのキャラクターと、MOOSIC LAB作品らしい音楽の力。ラストのあれをどう解釈するか。自分はこの話は最後まで「現在と過去」が混じって描かれていると、解釈しました。あの人公認の「ハッピーエンドにすることも出来る」を支持して。感想オシマイ。