銀色のファクシミリ

海街diaryの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.8
『#海街dairy』(2015/日)
自宅にて。自分を出自から緊張感をまとって鎌倉に越してきた四女すず(広瀬すず)。迎え入れた姉三人の愛情に包まれて、すずの表情とふるまいが柔らかくなっていく。大げさでない丹念な描写が優しく暖かい。長女からの末妹への想いは、自分がかつて味わった過去の苦労への反抗から生まれた部分もあったが、彼女を縛っていた過去への許しになっていく終盤も素晴らしい。

批判を集めやすい漫画原作映画の中でも屈指の傑作であり、加えて樹木希林から広瀬すずまで錚々たる女優陣が出演する日本映画史としても語り継ぎたい作品でもある。加えてメインキャストではない、風吹ジュンさん演じる食堂のおばさんがキーパーソンである意外性も面白かった。多分、映画としてはほぼ完璧に近い作品ではないかと思う。