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バビロンのタキのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.0
まだ荒野だったハリウッド創成期のお話。サイレント時代の人気俳優ジャック(ブラッド・ピット)田舎から何のツテもなく女優を目指してロサンゼルスにやってきたネリー(マーゴット・ロビー)映画制作に憧れるメキシコ出身のマニー(ディエゴ・ガルバ)この3人が主役。準主役にはジャズトランペッターの黒人の男と映画字幕の仕事をしながら昼間はランドリー夜はシンガーで生業を立てる中国系のレズビアンの女というハリウッドにおける当時のマイノリティをセッティングしているあたり今のハリウッドを強烈に意識している。いきなりのウ○コ、オ○ッコ、忘れた頃の大量ゲ○。セックスドラッグうっかり人が死ぬのは当たり前。コメディ色が強くて時々マスクの陰で息を殺して笑った。ギャングのボスにトビー・マグワイヤはズルイ。ガラガラ蛇のくだりはネリーとジャック妻の顔芸でふいた。マーゴット・ロビーはどれだけ振り切っても痛々しさがないのがいい。
冒頭の酒池肉林パーティは結構長いが、画面の情報量が多くて退屈はしない。その中でもネリーのノーブラ衣装がすっごく似合っていてあの濃厚な画面の中でキラ星のごとく燦然と輝いている。これはマーゴットロビーなしでは成立しない、と強烈に思った。続く荒野での青空撮影のシーンでは主役3人をテンポよくクロスカッティングの手法で見せていく。ネリーとジャックの中の人と重なるドタバタぶりがかなり真に迫っている。ジャックの付き人として撮影に潜り込んだマニーのパートだけが夢物語のように感じる。時代はサイレントからトーキーへ。時代を掴んだマニーは着実に映画の世界に食い込んでいき、ジャックとネリーは時代に置き去りにされる。トーキーに馴染もうと頑張ってもダメなところが余計に切ない。自分ではどうにもならない時代という魔物を前にして立ち尽くす人気商売の辛さ。「アイラブユー」で観客に爆笑されてショック受けてるシーンは可哀想で見てられなかった。ブラピ、最近俳優もプロデューサー業も辞めちゃおうかと言ってるらしくてこの役のせいなんじゃないのとチラッと思ったりした。早く元気いっぱいのイケオジ役をブラピに!
マニーを映画愛を語る制作陣の化身だとするならラストは特大の映画へのアイラブユーだったように思う。汚シーンが浄化される美しさだった。

バビロン公式サイト
https://babylon-movie.jp/sp/
こちらのサイトは制作陣の裏話と当時のハリウッド、ジャックとネリーのモデルについて詳しい。

激動のハリウッドを描いた超大作!
映画「バビロン」を徹底解説
【町山 &藤谷のアメtube】↓
https://youtu.be/M93PK7c9irY
https://youtu.be/clGrhamyJ0I
藤谷さんのチャゼル監督評になるほど!と思った。「見たことある酒池肉林」に同意。
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