人生喜劇か
小噺か、
あるペテン師に
起こる運命のいたずら
による悲喜劇を
軽妙洒脱なテンポで
語る…。
「とらんぷ譚」
サッシャ・ギトリによる監督、脚本、主演のユーモアたっぶりのフランス流小噺。
ペテン師にならざる得なかった男が自分の人生を回顧する…。初めて犯した罪は12歳の頃、雑貨屋を営む実家のレジからビー玉をくすねた事。だがそれにより、彼はひとりぼっちに。父親の逆鱗により夕食を抜かれたが、その日の夕食のキノコに間違って毒キノコが入っていたから。11人もいた家族は皆天国に…。盗まざれば死に、盗めば生きた彼の人生は波乱万丈に…。
僅か70分強の小品なれど、サッシャギトリの一人舞台は軽快な音楽とテンポで進み洒落たユーモアを交え、人生を描いて飽きることもない楽しい作品です。
回想シーンが主人公のモノローグにより、語られていく形式ですが、回想シーンはほぼサイレントであり、出演者の演技のみでセリフはありません。それにより、軽いタッチの軽快さを産んでいるのも面白いですね。サイレント映画の方がテンポ良く話が進行していた事を思い出しました(^^) オープニングも軽快な音楽にのって、モノローグにより出演者や作成陣を紹介していく斬新なスタイルで引き込まれます(^^)
何故か気のいい悪人が彼によって来て、人生を間違った方向に進めてしまう展開がユーモアを交え、そんなことないだろと思いながらも続き、彼はペテン師になってしまいます。恋人が宝石泥棒だったり、イカサマを持ちかける女性にほれてしまったり…(笑)またその二人が再度登場する辺りが落語の様。
ペテン師というか、カジノでのイカサマがメインなのですが、その辺りのカードイカサマのテクニックもサラッと披露されていて博打映画の側面もあったりする。ギトリのカード捌きも堂に入っていて中々。ルーレットに始まり、ポーカーやバカラ、ブラックジャックがメインですね。テクは仕込み、ガン牌かな。ルーレットで出目をコントロールするなんてモノもあります。因みに昔の知り合いにこれができる方がいました…(笑)
落語の小噺の様に王道的な伏線からの回収により、彼は転落し、更に軽妙なオチに繋がるのも楽しい部分でした。
戦前のサイレントからトーキーに変わった頃の斬新なスタイルが今また楽しめるのは凄いことかもしれませんね(^^)