みそらしど

プロミシング・ヤング・ウーマンのみそらしどのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

登場する男の口から出る言葉(ニールの化粧の話とか)が絶妙に癇に障ってきて、監督のフェネルさん自身こういう言葉に嫌な思いをしたのかなとか考えた。

キャシーがバサバサと復讐していくのは気持ちがいいけど、彼女が自分を消耗している気がして、観ていてずっと心配になった。

「前に進みなよ」というような事をキャシーに行った友達がいたけど、それはとても難しいことで、被害を受けた本人も、その人を大切に思う人も長く囚われてしまうのが性犯罪だと思う。
一方で当時の加害者や関係者は、「何もしてない」「見てただけ」「当時は若かった」「お酒を飲んでた」って言い訳ばかり。酷い犯罪であるという意識が流れやすい場で起こりやすい事件だからこそ、被害者だけがいつまでも深く傷つくのかもしれない。

エンドについては、エンタメとして良かったのか悪かったのか、キャシーにとって良かったのか悪かったのか、判断しかねる。
私の願いを言えば、キャシーには生きて、愛せる人と出会って幸せになって欲しかった。でも、もし新しい恋人が出来ても、ライアンのように今は素敵だけど学生時代にはひどい事の傍観者だったり、または加害者だったかもしれない、という不安や心配が彼女には付き纏い続けるだろうし、それ 
は苦しいだろうなと思う。家にも外にも居場所が無くて、どうしても例の事件に関わった人を許せない彼女にとっては、あの選択しかなかったのかな…。

追記:
キャシーが夜毎繰り返す"復讐"は自傷行為のようだという感想を観て共感した。
彼女は男たちに対して警鐘を鳴らしたり、恐怖・後悔を与えたりすることが目的なのではなくて、本当は当時の自分を許せないからリスクを負いながら繰り返しているんじゃないかと思った。
ニーナの事件を防げなかったこと、ニーナをその後救えなかったことに対する罪の意識が、いつまでもキャシーを縛っていて、その面から考えても、彼女がこの世で幸せ生きることは相当に難しかっただろうな。