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17歳の瞳に映る世界のデイのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.7
淡々としていて、セリフも少ないけれど、メッセージ性はとても強く感じられる作品でした。

その他、フィルムの質感やBGMとか等々…とても好みでした。

季節も今ぐらいなのでしょうか?
残った雪が道路脇にあったりと…。
(季節が合うと嬉しいのです。)

ヒリヒリした10代を扱う作品は大好きなのですが、かなりヒリヒリです!覚悟が必要ですね。


そして、観終わった後の"原題"が納得して、鳥肌が立ちました!!

そう言う事かー!!と。

望まない妊娠をしてしまったティーンの中絶は本当に"悪"なのか?


オータムは17歳、暗い性格の女の子
母親と妹、そして多分ステップファザー(継父)が居る。

この継父がクズでねー。
オータムに何かと嫌な言葉を吐いて来るし…。

ある日、自分の身体の異変(つわりによる吐き気等)があり、婦人科のクリニックで診察を受けたら、妊娠していた。

中絶を決意するオータムに女性医師は、あるビデオをオータムに観せる。

「赤ちゃんはお腹の中できちんと生きています。」的な?
そして、子供に恵まれない夫婦も居るから、養子縁組も視野に入れてみない?
と、何かと、出産を促そうとする。

ペンシルベニア州の田舎町(フィクションの町)は、やはり閉鎖的だったり、宗教的な考えから"中絶は良く無い事"と言う考えが根強いのでしょうか。

そして、ペンシルベニア州で未成年の中絶には、保護者の同意を必要とする事から、
保護者の同意無しでも中絶が出来るNYに行く事にする。

オータムと同じスーパーマーケットでアルバイトをするイトコでオータムにとっては、唯一の親友であるスカイラーと共に。

スカイラーは顔も可愛くて、何かと機転が利くから、"男受け"が良い子。

にしても、
継父もそうだけれど、スーパーの店長も変態だし😓…。

NYのバスの中でスカイラーに目をつけて、ナンパして来た若い男性もキモーい!!(ファンのかた、ごめんなさい🙇‍♀️。この役がキモかったと思います💦、彼の出演作品を過去に観てましたが、記憶無し💦)

初めての地下鉄でドキドキするオータムとスカイラー。
ホームでパーカッションを披露する黒人達…。

地下鉄の窓ガラスに写るオータムの姿とその表情。

中華街で買った胡麻団子を地下鉄車内で頬張るふたりにかすかな癒し。
美味しそうだったなー☺️(食べたい…)

そして、空いた地下鉄内でナニを出そうとして近づいて来るビジネスマン系の男。


ペンシルベニアからNYのロードムービーでは無かったし、NYも地下鉄構内のシーンが多くて、そんなに外の景色は出て来ませんが、
スカイラーに悪態を突いてしまい、1人になったオータムが地下鉄の階段を昇ると、そこがタイムズスクエアだった。
見上げるたくさんのビルの広告のライトと人のざわめき…。
かなり印象に残るシーンでした。

オータムはスカイラーに対して、「ありがとう」とか感謝の一言も無いけれど、
自分を犠牲にして"お金のために"長距離バスでナンパされた男とキスをするスカイラーに
地下鉄の柱越しにオータムが手を伸ばして、スカイラーの小指に自分の小指を絡めるシーン。
これはオータムなりのスカイラーへの感謝の気持ちだと思いました。

さて、
原題の"Never Rarely Sometimes Always"
の意味が観てゆくうちに分かって来るのですが、
オータムのお腹の中の子の父親は誰?
オータムがお水をぶっ掛けた同じ高校の男子?
でも、もしかしたら、継父かもしれない…。

ここは、作品の中では明らかにはしてません。
オータムが作品の冒頭で弾き語りで高校の文化祭で歌っていた曲の歌詞やら…色々と鑑みて、私はなんとなく、そんなふうに思えてなりません。

中絶手術の直前にママに電話するシーンとかで、私としては何となく思ったのですが(だとしたら、こ、怖いよ…。)

オータム自らお腹を殴り、アザの跡があっても、何も言わないNYのドクターの優しさ(?)よ。
って、見慣れているのかな?


アメリカ🇺🇸で、中絶禁止の法律が着々と進められているのをチラ見(聞き)したのだけれど、本当なのかな?しかも、州をまたぐのも違法。

例え、レイプされて妊娠したとしても。
そう考えると恐ろしい。

劇中でも婦人科クリニックの前で「中絶反対」のデモをする人々が出て来ますが、やはりケースバイケースなんでは無いかと思います。

こうやって親には言えないティーンの妊娠はあると思います。レイプとか、ハラスメントの犠牲とか。


ダラダラと書いてしまいましたが、書き直しても書き直しても、私が言いたい「これ!!」っていう核心が無い気がします😢

……


監督、脚本は「ブルックリンの片隅で」を手掛けた女性のエリザ・ヒットマン


今年のマイベストムービーになりそうな一作でした。
デイ

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