踊る猫

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実の踊る猫のレビュー・感想・評価

3.7
なにが彼らをしてここまで語らせ、知的に振舞わせ続けるのだろうかと考えた。それはクサい言い方になるが、「情熱」ではないかと思った。それは論理ではない(三島の言葉を使うなら「意地」かもしれない)。論理を支え論じさせるベースとなる、言葉にならない「情熱」。この映画で感じられるのは先鋭的な論理を操る学生と三島由紀夫の真剣な(だがユーモアも交えた)議論の質の高さもあるが、そこまで質を高めて現実離れしているとも感じさせる問題を考えさせる、そんな「熱」である。一本調子な撮り方であることと当時の時代背景を今ひとつ巧く説明できていないきらいを感じたから点を少し引いたが、しかし今のネット社会で誰もが知識人になれてしまう(し、「反知性主義」が形を変えてのさばる)時代にこの討論を見直すことで学べることは、私たちの内側にどんな「情熱」があるかということではないかと思う。それは、日本人としての……?
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