みかぽん

ミナリのみかぽんのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.9
アメリカは移民の国。移民の多くは背水の陣で祖国を離れ、当地に降り立った人々だ。なので、自国でのほほんと生きる私に、彼らの本当の気持ちを理解するのは難しい事のようにも思う。

物語の移民一家は、恐らく朝鮮戦争後の貧しく、また朴正煕の軍事独裁政権下にある祖国に希望を失い、自由と可能性を求めてアメリカを目指したのだろう。

渡った先で得た仕事は自分が望むそれとは程遠く、家長は得た土地を開墾し、家族の居場所を作る夢に全力を傾ける。
勿論、リスクは伴う。しかし、美味しい果実は枝の先にしかないのだ。だから勿論、彼は人一倍働く。それはもう鍬を打ち過ぎて両手が上がらないまでに。
しかし、彼の行動が全て身勝手に映り、格言にも乗れない現実的な妻とは諍いが絶えなく、夫は妻の慰めになるならと、韓国から彼女の母親を呼び寄せる。

それにしても、お婆ちゃんって人たちは、どうしてあんなにプロレスが好きなんだろう😆。私にとってのお婆ちゃんは、満州から引き上げたお手伝いのおばちゃんだったけど(「ROMA」で詳しく触れた)彼女は昼メロと、どう言う訳かプロレスが大大大好きで😅。それを日々一緒に観戦する私は、孫のデイビッドが片膝に汚い言葉使いで花札を打つように、幼稚園〜小学校低学年にして既にプロレス技を完コピ出来ていたし、(女の子なのに、と恐れられた…😭)他にも歌が大好きでいつも仕事の合間に口ずさんでいるおばちゃんから、満州での流行歌や、戦友との悲しい別れを綴る軍歌を率先して教わり(ここはぁ〜お国の何百里〜離れて遠〜き満洲のぉ〜 ってヤツ💦)これを長尺構わず歌いきる私の姿は、母を心底震撼させたらしい…😅。
彼女と私は、母親のそれとは違う、ある種最強の濃密ペアであったと今にして思う。

もとい。ミナリのお婆ちゃん。
このお婆ちゃんだって、祖国での生活全てを手放し、それこそなけなしの虎の子と花札🎴だけを携え、裸一貫でやって来たのだ。
それって凄いことだと思う😯。
表向きは飄々としているお婆ちゃんだけど、あの年齢での急激な環境変化は心身ともに大きな負担であったはずだ。にも関わらず、泣き言どころか愚痴一つ言わず(元々あっけらかんな性格なんでしょ?と括るのは、あまりに彼女に失礼と思ってしまう)。
身体を悪くした後も、家族の負担にならないよう、自分が出来ることを見つけて健気に励む。そんな姿に、いつしか私の心は彼女に寄り添い、最後に起こる惨事に打ちのめされ、そして家族が川の字で眠る姿に涙した。

私ですらこんな風なのだから、彼らと同じルーツを持つアメリカの人々には、更に響く物語ではないかしら、、、😢😢。
みかぽん

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