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ディナー・イン・アメリカのlololoのネタバレレビュー・内容・結末

ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

10分でわかるサイモンのクズ加減、5分でわかるパティの息苦しい環境。これが、普通の映画ならパティは所謂”眼鏡を取ったら美人”だろうし、サイモンは実は喧嘩に強くてめっちゃかっこいいんだろうけど、2人ともそうでもない。パティは最後までいじめられっ子だし(反撃してたけど)、サイモンは喧嘩に弱いし逮捕される。それでも2人が、お互いの顔を知るまでに「音楽」と「詩」で繋がっていたのが重要だったんだな…と。

こういう展開のお話では、地味な女の子から悪い男への好感度が上がるのはわかるけど、その逆はだいたいルッキズムとか自己犠牲的献身によるものが多い。だけど、この映画はちょっと違う。
サイモンが、”破廉恥な写真と一緒にファンレターを送ってくる女の子”とパティが同一人物だとわかった時。自分は、「きっとサイモン、パティのこと気持ち悪がってキレるんだろうな…」と思っていたけど、そんなことなくて、逆にどんどん肩入れしていくようだったのが不思議だった。不思議だったから、いじめっ子やペットショップへの復讐の後、ゲームセンターで2人が見せた素の笑顔は、吊り橋効果なのかな?なんて思ったけど、そうじゃなかったんだね…。
サイモンは、最初からパティの「詩」に惚れこんでいた、というのがわかった時に、彼の行動にめちゃめちゃ納得がいって、この映画が好きになってしまった。逮捕された時の「最悪なデートでごめんな」も本当にそう思ってるのが伝わる(パティが窓から手を離す時、指先に少しキスしてるように見えたのとか、人間味を感じた)。

2人ともいい具合にパンクだったからこそ成り立つ愛と友情のやりとり。退屈でありふれた”ディナー・イン・アメリカ”の席に着く人にはわからなくても、2人の間にあるものは確かなものだった。
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