SAVE

ポゼッサーのSAVEのネタバレレビュー・内容・結末

ポゼッサー(2020年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

大好きな映画「アンチヴァイラル」のブランドン・クローネンバーグ監督最新作!待ちに待ってました!

主人公ターシャ・ヴォスは、暗殺を請負う会社の優秀な女暗殺者。特殊な装置で第三者の脳に潜入して意識を乗っ取り、遠隔でターゲットを暗殺する。「アンチヴァイラル」も独特だったが、今作でもブランドン・クローネンバーグの無機質なSF世界に惹き込まれる。

徹底してCGを使用せず作られた映像は不気味かつ美しく、脳に潜入する一連の映像は見応え抜群。体の本来の所有者の意識が覚醒しヴォスの意識を逆に乗っ取ろうとする場面も、ヴォスの顔のマスクを被るというアナログ表現が不気味で良い。

ラストはあまりにもスンッと終わるので一瞬置いてけぼりにされた感があったものの、あとから考えれば考えるほど色々と考察できる締めくくり方で、今でも余韻が残る良い映画だと思った。

「Possessor」とは「所有者」の意味だが、体の所有者は誰かという意味の他に、ヴォスが暗殺を請負う会社の所有物であることも指すのだろう。
幼い頃から殺しの衝動を抱え、その罪悪感に苛まれていたヴォスは、愛する家族を殺害することで自ら抑圧から解放されたのか。それともその解放は会社側がヴォスを完全に所有するために仕組んだものだったのか。

今作も個人的に大満足の映画。ブランドン・クローネンバーグにはこれからもこの路線を突き進んで欲しい。
SAVE

SAVE