へたれ

ナイトメア・アリーのへたれのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.3
良かったとこ プロダクションデザインの徹底ぶり
この映画全体が、逃げ道のない迷路をグルグル回りながら深みにハマっていくのにあわせて、プロダクションデザインの象徴性も徹底していた。序盤のカーニバルでは、観覧車や回転木馬など、円環的な装置が回り続けて幻惑さを表現。カーニバルを脱出すると一転して、極端に直線が長いセットが続き、主人公が深くハマっていくさまを視覚的に強調していた。おまけに終盤には、文字どおり迷路のような庭園まで出てくる徹底ぶり。
かといって、観念的な絵作りにはなっておらず、フリークス趣味とアール・デコの両方が楽しめるお得っぷりも良かった。

ダメだったとこ 中途半端なプロット
ブラッドリー・クーパーが演じるスタンと、父親の関係があまり活かされていない。ファム・ファタールとして完璧な出立ちのケイト・ブランシェットなのに、登場が遅すぎるのでフィルム・ノワールとしてのバランスが悪い。因果応報ストーリーとして考えた場合、ピートとジーナのカップルと、スタンとモリーのカップルは相似形になっていないとおかしいけれど、そこまでクリアな構図は打ち出せず、ルーニー・マーラが演じたモリーの位置付けがかなり中途半端。おそらく、モリーはリメイクにあたって現代的な女性像に改変した様に見えたけど、その割にはステレオタイプな女性像も随所に見られていて、キャラクターに一貫性がなかった。
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