大傑作ミステリー「サーチ」のチャガンティ監督新作映画。
複数の先天性疾患を持ち、要介護者である少女。ひとりで外に出たこともない彼女だが、信頼する母とふたりホームスクーリングで勉強に励んでいる。
少女が一番関心を寄せているのは大学の合否。大学進学とともに訪れる、外の世界での生活に期待と不安を膨らませている。
過干渉気味な親と新しい世界を望む子。
それはごく平凡な家族の姿だが、些細なきっかけから少女の景色は一変しはじめる…。
予告編やあらすじから、ニコラユンの「エブリシング」と同じネタじゃないかと思っていた。
それはある意味的中したのだが、しかしそこはチャガンティ、その先が凄かった!
サイコに次ぐサイコの連続で、タイトル通り「走れ!」と言いたくなる緊迫感が最後まで続く。
かなりMナイトシャマランから影響を受けているのか、本作の演出やギミックはかなりシャマラン味が強い。
例えそれとしても、これほどエッジの利いた演出と編集はさすがの手腕だ。
サラポールソンはどの作品を観てもどっちに転ぶかわからないから怖い。日本でいえば本田博太郎か大竹しのぶ。
ただ、「サーチ」の素晴らしい出来を思うと、伏線の積み重ね、ギミック使いの巧みさ、ストーリーの意外性と、どれも薄味に感じてしまった。
もちろんそれは本作が悪いというわけではなく「サーチ」があまりに秀逸すぎるためだ。
純粋に本作単体で観るなら、しっかりと見応えある作品である。
そろそろ終わりにしよう。
ママのお薬の時間だからね。