塚原直彦

RUN/ランの塚原直彦のレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
4.2
全編パソコン画面のみで進行していく斬新なアイディアで製作された「search/サーチ」で大成功を収めた、アニーシュ・チャガンティ監督の最新作。
敢えて前作とは真逆にインターネットを一切断ち切り、アナログな展開へと舵を切った姿勢も潔い。

テーマとなるのは、愛情と狂気の境目は一体どこなのかという事。
独りよがりの愛情は他人から見れば人格すら無視をした感情の押し付けでしかなく、それを見事猟奇的な怖さで体現したのはサラ・ポールソン。
だがそれ以上に娘のクロエ役のキーラ・アレンが、終始巧い表情で魅せてくれるので恐怖感は更に倍増。

ヒッチコック的なノスタルジーはどこまでも錆びることなく、むしろ余計な飛び道具など使わずとも如何様にもスリリングになると証明してくれた。
せっかくならラストの決着の付け方にもう一捻り欲しかった気もするが、エピローグの容赦のなさには大大大満足。
塚原直彦

塚原直彦