むぎちゃ

ビバリウムのむぎちゃのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.3
あの本には車の運転マニュアルも載っていたのか議論


世にも奇妙な物語にありそうな入りと展開な以上、理屈でねじ伏せるオチじゃないのは確実でしたな。
フォーガットンを思い出す展開だった。

色々紐解く鍵が散りばめられていた演出は、少なくとも主人公らがそこに向き合うなり、そこを起点に探っていく展開に必要なのであって、今作のように起点そのものを放ったらかしにするのは「謎を謎のままにして終わる」的な演出とはまた別なんじゃないかな…。
実際自分は一から十まで説明しなくても構わないタイプの人間だけど、この映画における鍵の放置は首を傾げるものがあった。

あの子役、昔のマコーレ・カルキンに似てたね。絶妙にかわいくなくて気味が悪い面構えは見事だった。
お恥ずかしながら、あれが次なる不動産屋だと気付いたのは次の段階の青年になった時だったが。

特に気になったポイントの一つは、解放イコール死である事への伏線はあったのかな?って事。
映画表現のルールとして、説明には嘘ついちゃ駄目ってものがあるはず。
今作で言うと、ダンボールの注意書き。「ちゃんと育てたら解放してあげる」ってやつ。
解放イコール死だから嘘じゃないのであれば、それを素直に飲み込める伏線が必要で、オチに直結する要素なんだからある程度はわかりやすさは欲しいところ…。
少なくとも自分には分からなかった。だから2人の死因もイマイチピンと来なかった。
男は土埃からの肺炎?彼女に至ってはなんかヌト~っと死んで行ったし…。
あ、そうそう、そこに付随する事だけど二人の精神状態の方向性が徐々に分かれていったところ……普通はそこから二人が迎える結末が異なるものだけど(片方はこうしたから死んだ、片方はこうしなかったから生き延びた…とかね)、見事に二人とも同じ穴に埋まったと。何かしようがしまいが関係なかったのも割と独特な展開だよね?

もうひとつは今作の重要なモチーフ、カッコウ。
そもそもオープニングであんな寄りで撮り続けた映像を長々見せたんだからもう充分だろうに、ご丁寧に本編序盤でも擦る意味はなんだったのか。
托卵だけがモチーフになっていると考えないと色々噛み合わないのも不思議。
「先に巣にいるヒナや卵を排除する」
「異なる種の親に育ててもらう」
「親鳥(嘘)よりも大きく成長する」
オープニングの映像ではこの辺が映し出されているが、今作のゴキブリガエルエイリアン(麦茶命名)は「異なる種の親に育ててもらう」にしか該当しない。うーん?

自らの器の小ささと知識不足による物足りなさと、それによる疑問の方が見応えより大きかったのが残念だった。
映画と私、どちらのせいなんですかね。それはミーなんですね。
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