sugar708

ビバリウムのsugar708のネタバレレビュー・内容・結末

ビバリウム(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

赤ちゃんとは宇宙人か。

まず、主軸と外れるのですがこの映画は個人的に色んな意味で突き刺さりました。。。現在、イヤイヤ期のお子さんがいる家庭の人が見たら全員そうかもしれません笑

「あんたって謎だね」

この言葉が乳幼児期の子育ての全てなのかなと。言葉が通じず、どうして泣いているのかわからない。何をしても嫌がる。子育てをしていると大なり小なり手に負えない瞬間があって、思わずトムやジェマのようになってしまうときがある。

親だってまた1人の人間であり、子どもが生まれた瞬間に全てを微笑んで許せる聖人にはなれないのです。

望んで子どもを授かったのであれば、そんな苦労もどこか楽しみながら頑張ることが出来ますが、仮にそれが”望まぬ出産“だったらどうでしょうか。育児ノイローゼやその末に虐待という社会問題の根幹も本作では描かれているような気がしました。

マイホームを手に入れた結果、それに支配され、働き続け、家族の会話や時間がなくなり、愛する人たちとの間に溝が出来る。何のために夢のマイホームを手に入れたのか、という消費社会の問題点を痛烈に皮肉ったような映画なので、どこか自分の人生を批判されたような気もして後味の良い作品ではありませんが、それでもどこかで「よくぞ言ってくれた!」という満足感が生まれてしまう不思議な作品だったのかなと。

自分の墓穴を掘り続けていたトムはとても滑稽に思えますが、恐らく大半の人間は彼ら側の人間です。全ての人はそれを分かっていて、様々な情報を簡単に手に入れることが出来る現代では、そこからどう脱却すれば良いかも知っている。

しかし、資本主義や消費社会のど真ん中を生きる人たちはそこから外れて生きる勇気はないのかなと。少なからず、私はトムのような人生を送ると思います。。。笑
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