踊る猫

宇宙でいちばんあかるい屋根の踊る猫のレビュー・感想・評価

3.8
やや生煮え感があり。星ばあの気ままなキャラクターはよく出ていたので、彼女が生み出すマジックをもっと観たかった。だが、そんなないものねだりかもしれないことを考えるということはこの映画に魅了されたからなのだろう。作りすぎていないが故の旨味、というのも確かにある。この映画は現代風俗的な学校の裏サイトや恋人の暴力、不良といったナスティな要素を出しつつも基本的には「すこしふしぎ」なストーリーで、ライトノベル的な十代の葛藤と大人たちの可愛さがくどくならない程度に現れている。だからこそ、と言いたくなる。この映画はそれこそ水墨画のようにあっさりした、どぎつさのなさが持ち味ではあるのだけれど、観終えたあとに強烈に後を引くものがない。あるとしたら桃井かおりが持っていってしまっているというか……水族館らしき場所でのクラゲの舞踊(?)がきれいだったことと、色々ケチをつけてしまったけれどそんなにアラを目立たせずハートウォーミングな映画に仕上げたところはいいと思った。
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