翼

グッバイ、レーニン!の翼のネタバレレビュー・内容・結末

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ドイツ統一を知らない母に、ショックを与えないように東ドイツを演じるドタバタコメディかと思ってたけど、それは本作の一面でしかない。
本質は東西ドイツに翻弄されながらお互いを思いやる家族の愛のお話だった。

本作、タネ明かしを「し過ぎない」ところが最高に良い。
息子がハリボテの東ドイツ感でなんとか工夫する序盤はハラハラするし、いつか破綻するのが怖くもあり同時にサプライズを待つような楽しみでもある。母が統一の事実を知る時はどんなリアクションなのかなんて、この手の作品の最大の見せ場なのに、その表情は敢えて描かない。父親との再会も病室の窓越しにシルエットだけ。それなのにただ、事実を知った上で息子が用意した東ドイツを見つめる温かい瞳が全てを物語っている。実に誠実で洒落た作風。
翼