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ペルシャン・レッスン 戦場の教室のtenのレビュー・感想・評価

4.3
物語として面白いかどうかと訊かれるとちょっと困る。
如何せん地味。「記憶力のよさ」って、どう足掻いたって視覚的にも聴覚的にも派手にはならないから。
でも、やりとりとか展開とか、すごく好き。

ナチス側の人たちの告げ口合戦とか、あーいるいる自国にもこういう人すごくいっぱい、って思って笑ってしまった。
コッホ大尉みたいな人も。

コッホ大尉の描かれ方が好きだった。
自分はジルを守って、ジルと仲良くなっていってる、と思えてしまう無邪気さがいっそ哀れ。
いじめのある学校とか職場とかにもうじゃうじゃいるよね、こういう人。
間違いなく彼の兄の方が圧倒的に賢明だった。
最後まで貫かれるジルの態度と、コッホ大尉の行く末が、被害者の凜とした意思表示に見えた。
加害者Sideにとっての都合のよいラストではないことに救われる。
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