great兄やん

みんなのヴァカンスのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)
5.0
【一言で言うと】
「心“休暇(ここ)”にあらず」

[あらすじ]
フェリックスはセーヌ川のほとりでアルマと楽しい時間を過ごし、急接近する。翌朝、アルマが家族とのヴァカンスに旅立ち、フェリックスは彼女を追って親友のシェリフ、相乗りアプリで知り合ったエドゥアールと一緒に南フランスの田舎町へ向かう...。

圧倒的下半期ベスト。この多幸感を残り僅かの夏休み期間中に味わうには余りにも残酷で、過ぎ去ろうとする“休暇”にいつまでも浸っていたい想いが止めどなく溢れ出てきた。
ギヨーム・ブラック監督はお初にお目にかかるのですが、これは完全に僕好みの監督かもしれない😋...それくらいドンズバに刺さる映画ですし、観れるもんなら毎年この時期に観て現実逃避したい笑笑

とにかくゆるく始まりゆるく終わる。このゆったりとした感覚が終始伝わってくるおかげか、観ているこちらもヴァカンスの気分を味わえる最高の100分間だった。
主にフェリックス、シェリフ、そしてエドゥアールの3人を軸にストーリーが進むのだが、この3人の関係も絶妙でノイズにもならないですし、一人一人のキャラの描き方も自然すぎて一瞬映画であることを忘れてしまうくらい。

特に“子猫ちゃん”ことエドゥアールの存在感がとても好き笑。ひ弱だった彼の心や精神が、ヴァカンスを経て一皮剥けた“大人”になる過程も愛おしくてたまらないですし、あの最後まで抜け切らない“マザコン”な雰囲気がホント丁度良いんですよね☺️...

ストーリーはあって無いようなものだけど、全体的に広がる涼しい避暑地の雰囲気とシュールな会話劇という最高のコンボで終始面白さを持続させていますし、なんと言ってもこのヴァカンスがいつか終わってしまう“儚さ”というのが本当に堪らなく切なくて泣きそうになった🥲

バーで歌うカラオケやスリル満点な渓流下り、それに“恋”...全てが“特別な”体験として映えるあの瞬間はまさに唯一無二ですし、やはりこういったデトックスは人生における最高の“安らぎ”だと思いましたね😌...

とにかく最高にして至高。一夏のヴァカンスにおける特別な人間模様にいつしか時間を忘れて漂っていたい気分にさせる一本でした。

終わる“恋”もあれば始まる“恋”もある。休暇にだって様々なドラマが訪れる。そんな忘れがたき“時間”を切り取った今作から受け取る感動はまさに人それぞれですし、ビターにならず“優しさ”で包み込んだようなあのラストは何回でも観ていたいくらい好きで好きでどうしようもなかった。

本来ならもう一本何か観ようかと予定していたが、今日はもういいや。
今日一日は、この“ヴァカンス”をゆっくりと反芻していたい...