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日本侠客伝 関東篇のkoyaのレビュー・感想・評価

日本侠客伝 関東篇(1965年製作の映画)
4.0
この日本侠客伝あたりになると、わたしはたぶん、子供の頃とか、テレビで見ていると思います。なんだか、たくさんの任侠映画をテレビで見た覚えがあります(好きだったのか・・・このころから・・・印象深かったのは『人生劇場』だったりしますから)

 時代劇では、粋でいなせで、おしゃれで笑いやユーモアにあふれた人情ものが、たくさんあるのですが、この高倉健主演のこの映画は、粋というより、無骨で、自分を上手く表現できない恋には不器用な男気のある人物・・・となっています。

 時代は震災直後の築地、魚河岸。
震災で立て直しのどさくさにまぎれて、表向きは組合、実は裏ではやくざが、魚河岸の店をねらっている。
そこにふらり、と立ち寄ったのが、船乗りの勇(高倉健)

 たまたま、江戸一、というやくざには屈しない、店の世話になったことから・・・悪者やくざたちと対決するのです。
高倉健は、まだまだ若くて元気がよくて、今の渋さ・・・というのはまだ、ないのですが、いかにも口べたで、でもいざとなると男らしさ炸裂!

 脇がいいですよね。お調子者の元気のいい魚河岸の若者に長門裕之。なんだか空回りしている元気者って、マキノ監督の映画にはよく出てきますよね。
もとはやくざだったけれど今は、鮨屋をしている北島三郎(映画始っていきなり、サブちゃんの『兄弟仁義』であります)
北島三郎が、仁義野郎で、意外とトリックスターで、活躍しますね。寿司を握っているところはないのですが、いい雰囲気の鮨屋であります。
時々姿をあらわす、存在感のある鶴田浩二。

 江戸一、という店は、南田洋子演じる栄という女の人が、今は社長となり、妹が藤純子。
女だからって、なめてかかるやくざたちの助っ人をする高倉健。
かわいい花魁だった南田洋子は、しっかりもので気丈な魚河岸の女社長と、かなりキャラクターが変わっています。
高倉健はそんな、南田洋子になんとなく、思慕の情のようなものを持つようになりますが・・・・・

 そして、気流しにドスを持って、鶴田浩二と高倉健が、悪者たちと立ち向かう・・・・という。
こういう東映やくざ路線は、そのあと、実録やくざもの・・・となって、ヒットしていくのですが、まだこのころは、チャンバラ・・・という。

マキノ監督は、血を露骨にどばどば出すのは、とにかくいやだ、と言われていて、そこら辺のかわし方など上手いと思います。
血糊使って、ばああっとやってしまえばいいところ、型というかね、で決める。そういうストイックさがいいのです。
あまり大暴れ!してスカっとするような映画では、なかったですが、だんだん、大暴れ、スカッが時代の人気になっていくのですね。

 悪役はいかにも悪役って顔していて、任侠ものファンにとっては、この悪役をたくさん演じた天津敏・・・も大変な人気があって、この映画の悪役は天津敏で、この映画は金子信雄だった・・・と表にしている人がいる・・・なんてことが和田誠さんの本に書いてありました。いや、悪役は大事ですよ。
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