タスマニア

望みのタスマニアのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
3.0
2020年202本目。

堪らんなぁ。
こんなの親の気持ちになったら耐えられないわ。
親の気持ちなんて一ミリもわからないけど笑

堤幸彦映画ということもあるけど、「人魚の眠る家」とすごく似ている映画だと思った。
扱っているストーリーの軸は違えど、家族に究極の選択を突きつける感じや、どちらの選択でも考え方によっては地獄になる展開とかも。
「十二人の死にたい子どもたち」もそうだけど、何か観客に死生観や命の選択に関する倫理観を問うてくる映画が続いている気がする。
「トリック」の監督と同じ人とは思えない作家性だ。

「愛する息子は加害者なのか?被害者なのか?」に焦点を当ててサスペンスとして向き合うと、「望み」というタイトルが身に染みない。
真実がどうなのかは勿論物語に感情移入するにあたってめちゃくちゃ重要だけど、そんなに重要じゃない。どっちやねん笑
どちらの真実でも家族としては受け入れがたいものであるが故、同じ家族でも願う結末は微妙に違っている。
つまり、家族それぞれの「望み」が違う。
父親の望み。母親の望み。妹の望み。行方不明の息子の望み。被害者遺族の望み。世間の望み。

世間やマスコミの望みに関しては世俗的ですごく醜悪に描かれていた気がする。マスコミ批判の意味もあったりするのかな?
マスコミが去った後の家の周りのゴミを拾い、家を見上げるシーンなんかは、とてもマスコミへのヘイトを感じた。

堤真一の父親役良かったなぁ。
忍耐強く世間と向き合い、家族とも向き合い、自分の中の感情と葛藤していた気がする。
ネタバレになるから伏せるけど、あるシーンなんか泣いちゃうもん。

石田ゆり子の母親役も良かったなぁ。
母親としての覚悟や強さはあまり感じず、息子を愛しすぎたか弱い母親像だったけど、突き動かされるような衝動的な言動が狂気を感じるもので、裕福で何不自由ない幸せな家庭の母親っぽかった。
あと、いつまで経ってもお綺麗で可愛いです。

あと、清原伽耶の妹役良かったなぁ。
いや、妹役が良かったかどうかより、もはやこの女優さん最近すごく好きなだけ笑
珍しく「ふつーな女の子」を演じている気がして、「ふつーな女の子」に訪れた悲劇感は感じれた。
普段の彼女ならば、この困難にも気丈に明るく立ち向かいそうな役をやりそうだけど。

冒頭と終盤の家族写真のシーンなんか「あ。。」って声出しちゃうシーンだな。

森山直太郎の歌声とあの街並みを引きで撮るエンディングは余韻たっぷりで、あの家族がどんなふうに痛みを乗り越えていくのかに思いを馳せたりした。

「望み」ってインパクトあるタイトルだな。
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