Oto

ブックセラーズのOtoのレビュー・感想・評価

ブックセラーズ(2019年製作の映画)
3.6
アメリカの古本屋のドキュメンタリー。試写にて。

描かれる内容は幅広く、
・ブックフェアとは何か
・コレクションとアーカイブの違い
・電子書籍の台頭による弊害
・オークションの仕組み
・女性の活躍の歴史
・雑誌から生まれたHIPHOPカルチャー
・古本の価値とは何か
など。

ちょうど世田谷にある古本屋で2冊買った日の夜に観たので、すごく自分ごととしてみれたしクレイジーだなとは全く思わなかったけど、同時に電子書籍の広告を作っていたりもするので、複雑な気持ちになった。「簡単に読みたい本が手に入る」とか、いいところは取り入れて共存できたらすごくいいのだけど、やはり敵対視する人が多いのがわかった。

読んだ人の記憶や記録が蓄積していくというのはかなり強い魅力だなぁと思ったし、紙の本が今後「美術品」として扱われるようになるというのは納得した。本当に好きな本はモノとして持っておきたいという気持ちはすごくわかる。やっぱり自分の書斎には大きな本棚おきたいし、老後は本屋やって観たい気持ちある。「本もまた読者を読んでいる」。

日本版が観たいな〜撮りたいな〜、という気持ちもあって、日本でも確かにB&Bをはじめとして本屋が別のビジネスを一緒にやることで続ける工夫をしていたりするので、純粋にどういう違いがあるのか気になっている。そしてDX時代に残り続ける古本屋があるとしたらどんなものなのか。

麒麟の川島さんに声も顔もそっくりなおじいさん、開く冊子を「プレイボーイみたいだろ笑」って言ってたソフトボールおじさん、3人で並んで全く配置の変わらない姉妹、アメリカの尾木ママみたいな人、みんなキャラが立ってて、散文詩のようにしっかりとストーリーがあるという映画ではないのだけど、ずっと興味深く観られた。
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