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空白のsingerのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.1
なんとなく。
この作品だけは、見逃したら後悔しそうな雰囲気を感じて、
ちょっと無理して久々にレイトショーで観てきました。

ファーストカットが、いきなり個人的には良かったので、
まずは先制パンチを浴びる。
こういう映画って、大抵は外さないので、
そのまま、のめり込むように最期まで見届けましたね。

そして、観終わった後、どうも気持ちの整理がつかなくて、
感想をまとめるのも、少し日を置こうかなぁと思ったりしていたんですが、
そういえば、この感情のモヤモヤ感。
かつて、あの映画を観た後の感じと、凄く似ているなぁと思って、少し振り返ってみる。

そう。
「デッドマン・ウォーキング」だ。

あの作品も、観終わった後に、何とも言えない気分にさせられたんですよね。
主人公に対して、感情移入も共感も無く、自分がそこに入る余地なんて無かった筈なのに、何故か、心を揺さぶられて、込み上げてくるものが確かにあって。

それが、自分の何処から湧いてくるものなのかは、上手く言えないんですが、
それでも、結果的に観て良かったなぁと感じられたので、価値ある鑑賞機会だったんじゃないかと思います。

古田新太が圧巻でしたね。
これは、観る前から、大体想像はついてました。
今年の賞レースを賑わせてくれるんじゃないかなぁと期待していたし、
だからこそ、その演技をスクリーンでしっかりと見ておきたい。
今回は、そんな気持ちもあって、劇場に足を運んだんですよね。

でも、周りを固めるキャスト陣も、みんな素晴らしかったですね。
松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、寺島しのぶ、片岡礼子。
それぞれに、いいシーンや、役者としての見せ場があったと思うし、
それらが、しっかりと組み上がっているからこそ、作品が良いものに仕上がっているのが、本当に見事だったなぁと思いました。

確かに、作品自体は結構、重ためだし、
万人に声を大にしてお薦め出来るようなものでは無かったけど、
興味がある人には、是非、劇場で体験して欲しいなぁと思える作品でしたね。
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