トーキーが誕生してから4年後だけど、執拗にサイレントにこだわり続けたチャップリンの、言わずと知れた代表作。
5年後の「モダン・タイムス」で初めて声を聴かせるも、それが「どこの国の言葉でもない言語」で歌われた「ティティナ」なので、言語としての意味は持たない(けど、パントマイムで歌詞の意味が全部わかっちゃうところが流石なんだけど)。
だから本作も、サイレントではあるんだけど、ちゃんとトーキー(というか、音と映像がちゃんとシンクしないと成立しない映画)ならではのチャップリンなりの技法のアップデートがある。笛とかゴングとかがそれ(まあ、チャップリンの発明というわけではなく、ムルナウなんかが先に使ってる技法ではありますが)。
ただ新しいものを否定するのではなく、トーキーで使えるテクニックはしっかり使っているのが素晴らしい。
(チャップリンは単なる頑固でトーキーを否定したのではなく、喋っちゃうと英語圏以外の人にわかんなくなるからという確固たる信念があったから)
何十年かぶりに観返したんですが、冒頭の除幕式で石像に抱かれて寝ているチャップリンがピエタ像に見えました。