紫のみなと

5月の花嫁学校の紫のみなとのレビュー・感想・評価

5月の花嫁学校(2020年製作の映画)
3.2
全体的に凡庸に感じました。所々いいシーンもあるにはありますが…。
1967年のフランスの花嫁学校が舞台。当たり前ですが、世界中どこでも男尊女卑はあったんだなと改めて腹が立ってきます。その腹立ちが映画を観る高揚感に取って代わると楽しいのですが、かえって嫌悪感が増長すという好ましくない状況に。
しかし、初めてズボンを履いたジュリエット・ビノシュや伸ばしっぱなしの髪をボブにカットしたヨランド・モローの姿を見ると、すごくかっこいいヨ!と声をかけたくなるようなホロっとさせられるような場面もあります。(この映画は10代のピチピチガールちゃん達が沢山出演してしますが、なんだかんだと初老のヨランダ・モローが1番可愛い)

若干ショックだったのはジュリエット・ビノシュです。かつてはファム・ファタルとして敵なしだったビノシュが、ふたまわり位膨らんだお尻のタイトスカートのスーツで画面を歩き回りますが、フランス映画界の女神カトリーヌ・ドヌーブももちろん、中年期以降ビノシュの更に2倍位のボリュームですが、サイズがどうとか、皺がどうとかではなくて、なんと言っていいかビノシュはコメディがやはり合わないのかな?勿論下手くそではないので良きリーダーぶりに説得力もありましたが、例えばドヌーブのコケティッシュなコメディエンヌぶりと比較するとワンランク落ちるかなと…。
このテーマに対し、今日的な描き方がもっとあった筈です。
生命の輝きを繊細に描いた「ルージュの手紙」の監督と知って驚き、なんで?と思いました。