紫のみなと

ブレット・トレインの紫のみなとのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.0
伊坂幸太郎原作という以外の情報がなく、何も思わず観たらなんだかなんだか面白かったです。

何が良かったって、ブラット・ピットと真田裕之!

ブラット・ピットは若くて美しかった頃、全然いいと思わなかったのに、歳を取れば取るほど好きになってきました。
2022年の作品ということだから、58歳くらいだと思いますが、60前でこれだけカッコいいってなんなんですか‼︎
終盤、朝日が差し込む京都駅に降り立つ前に、おもむろに髪をひとつに結び振り返った姿、これがブラット・ピットだ!となんだか思いましたし、プラットフォームにおける白い死神とのやりとり…
「もしもっと前にあのバカ息子を切り捨てていたら妻はまた私のそばにいた!」
「いいセラピストを紹介するよ」

「だがまだ1人だけ残っている…カーバーだ」
「わわ、あー、えええexcuse me?」

とか、いちいち表情から面白くて上手い、吹き出しました。

そして真田裕之はというと、出演作をちゃんと観たのはこの数年で、これまで、かつて葉月里緒奈とのスキャンダルのせいで俳優人生を棒に振ってしまったひと、というイメージがなぜかずっと残っていて…今ではそんなことあったっけ?と人が思うような情報でしょうけど、
水俣病を描いた「minamata」では演じた人物の魂の震えを感じましたし、そのあと若い頃の出演作「写楽」を観て、その頃のとてつもない色気といったら…!
本当に、あのスキャンダルがなかったらもっと日本映画で活躍してたんじゃないかと勝手に憶測したことで。
本作でも何しろアップがいい。「多くの修羅場をくぐった、あんたより遥かに過酷な人生だ」というセリフのごとく、海外進出してからはきっと人に言えないような苦労があっただろうなと思わせる、俳優一筋の年輪が刻まれたその顔面が、このハチャメチャな映画、観終わったら忘れてしまいそうな映画に品格と叙情をもたらしたように思います。

伊坂幸太郎の小説は一冊も読んだことがないですが、原作がどんなのか想像がつきません。