decap

ハッピー・オールド・イヤーのdecapのレビュー・感想・評価

3.0
断捨離を通して過去への決別を図るが、簡単には埋まらない人間関係の溝。
所詮人間関係の整理などは自分勝手な行為であり、たとえ相手のためを思ったものであっても自意識の渦中からは逃れられない。そんな非情な現実を突きつけること自体もある種の思いやりであり、過去と向き合うというのはそういうことなのだ。
なにより劇中の「思い出」の姿が国境を超えて共感できる素晴らしく懐かしいものだったのは驚き。あの写真だけでも観てよかったと思える。
自分勝手な主人公でもきちんと複雑に描いているから好感が持てる。魅力的な佇まいの兄をはじめ、それぞれの役者も素晴らしく、明るいカットも暗いカットも美しくてタイ映画の底の深さを実感。
ある種の狂気に至るほろ苦いラストも好き
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