あなぐらむ

日本一の裏切り男のあなぐらむのレビュー・感想・評価

日本一の裏切り男(1968年製作の映画)
4.0
新文芸坐で。
早坂暁と佐々木守が当時の世相をがっつり反映させた植木等の風刺喜劇。
デモにオリンピックに再軍備、まるで現代に作られたかの様な毒の塊の90分。敗戦を国民への「裏切り」と捉え、戦後資本主義を徹底して茶化す姿勢が痛快。
特攻隊の生き残り、日の本太郎(植木等)が旧日本軍の亡霊ともいうべき、その名も大和武(ハナ肇)の立身出世を口八丁手八丁でとにかく邪魔しまくる、チャウ・シンチー作品みたいな映画。
その太郎につきまとうのが奇跡的な美しさ可愛さの浜美枝(名前は日見子)というおかしみ。最後は国会議事堂まで売りにかける大博打。
長らくレンタルもされなかった須川栄三らしいっちゃらしいこの作品、見ても損のない買い物だ!

とはいえ、新文芸坐のこれ、ひでえプリントで真っ赤だったし音飛びはするし切れてるし、鑑賞状態としては非常に悪い。それをかえって売り物にしてたようなこっちも酷い商売ではあった。