じゅ

君が世界のはじまりのじゅのレビュー・感想・評価

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)
5.0
私には心がある。友人のあいつにも、たまたま目に映るあの人にも、見たことはないけど何処かで暮らしている誰かにだってどうやら心があるようだ。
あいつの心はところどころ解るし、ところどころ解らない。知らない誰かの心はなおさら解るわけがない。きっと、彼らだって私の心は解らない。こんなにも大きな問題を抱えているのに、誰にも解らない。知らんぷりしてよろしくやってるように見えてくる。"気が狂いそう"だ。

現実はノロマで不都合。私の心など知ったことかと言わんばかりに、昔から私に寄り添ってきたものさえ、いつの間にか変わっていってしまう。
そんな現実に置いてけぼりにされているような気がする。解らないものが解らないまま、さらに姿を変えて行ってしまう。
そんな中でどうにか自分を保てていられるのは、あのとき君にあの一言をもらったからだ。あるいは君がいてくれるからだ。そんなぐらついた幸運の上に私は成り立っている。
もしかしたら私も、一線を越えてしまったあの人に手を差し伸べられたかもしれない。不都合な現実に囚われているあの人を救い出せるかもしれない。そんな大それた空想を時に抱きながらも依然現実は現実のままだ。

そんな何もかも思い通りでない現実と、それでも折り合いをつけてみようと思ったきっかけは君だ。その時私は現実を生きようと決めた。世界が始まった。
私の現実(世界)を生きるのは私だ。そしてその現実に命を吹き込んだのは君だ。"My name is yours"

むりやり言語化するとそんなようなことを感じた。ばりくそエモかった。
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