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TITANE/チタンのギルドのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.4
【愛と依存の境目はグラデーションなファンタジー版「愛がなんだ」】
自動車事故をきっかけにチタンプレートを埋め込まれた少女を捉えたSF映画。

凄い映画を見ました。
絵的に強烈なのも勿論あるけど、目に見えない「愛情」のグラデーションを探求する意味では前作RAWと同様に「純情なメッセージだけど、それを伝えるのにとんでもアプローチをしてくる」の系譜を感じました。

チタンプレートを身体に纏う、車と情事を重ねる衝撃的な話を通じて「内面/外面に異種という仮面をまとった人間との愛は共依存/愛情/家族愛が変化する」というのを明示すると共に、人が抱く愛情はLOVEでもありLIKEでもあり境界線がグラデーションになっている。と言わしめる所が見どころだと感じました!

それは車への情事、ドラッグに依存する関係と地続きに延長して人間の抱く感情の曖昧さを表現するところが強烈でした。
RAWと同様にクローネンバーグ「クラッシュ」、タルコフスキー「サクリファイス」、キューブリック「シャイニング」などの過去作オマージュを感じさせるシーンはあれども、そうゆう色眼鏡をつけなくても唯一無二な作品として観れるストーリーテリングも面白かったです。

でも本作の凄みは「心情で抱く想いが肉体・仕草に現れる肉体と精神が一体化する」前作を踏襲して更に「外見の仮面が徐々に精神に醸成される」姿を明示して、「社会の立ち位置や環境で精神はトランスフォームする」、「精神の性癖・暴力的な側面は社会や環境の束縛具合で徐々に顕にする」という人間のあり様を見せるところだと思う。

その白眉として、消防車上でのダンスやクライマックスの家族愛から共依存へ変わり、更に超越した愛へ昇華するシーンだろう。
あそこのシーンのアウトローかつミステリアスかつエロティックな絵作りにラブロマンスの異種が徐々に混じる姿も、チタンプレートを埋め込まれた少女と本質的に同じだと感じました。

RAWでギャスパー・ノエの親戚と感じていたけど、TITANEでギャスパー・ノエと違った路線を打ち出していて今後の作品に注目したいと思わせる、そんな映画でした。おすすめです!
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