牛猫

百万粒の涙の牛猫のレビュー・感想・評価

百万粒の涙(2015年製作の映画)
3.5
カフェで出会った初老の男性とバックパッカーの若い女性の不思議な旅を描いた話。

この2人が何者なのか、旅の目的は何なのか。ラストで明かされる真実が重くのしかかる。わずか20分程の短い時間の中で伏線の張り方が実に秀逸。やたら少ない女性の荷物や、これみよがしに映し出される剥げたネイル。お腹を空かせて食事にありつく姿など。2回目を観ると全てのシーンに優しさと後悔が詰まっていてより切ない。そして初老の男性のどこか物憂げで寂しそうな表情と女性の飄々とした表情の対比までもがオチに繋がっていたとは。見事だった。

タイトルも秀逸。お爺さんの心中を想うと百万粒どころでは済まされない。雨漏りしてる古びたセダンはまさに泣いても泣いてもやりきれない心情を表しているようだった。

なんてことない日常を大切にしないといけないと思わされた。

こういう湿っぽい雰囲気とフランス映画の親和性は結構高いというのが新たな発見だった。短い時間で不思議な世界観に浸れるショートフィルムの醍醐味を改めて感じた。
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