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ヤクザと家族 The Familyのスクリーンのネタバレレビュー・内容・結末

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

さすがは「新聞記者」の藤井道人監督の作品ですね。
ヤクザとして生きて行くしかなかった男の半生を通して
現代社会の危うさを描いているように思える。
まあ、ヤクザと言えば悪で存在さえ許されない存在ってイメージですが、
この柴咲組のように義理と人情が生きていた時代では、
話し合いで解決できないもめ事を解決したり、
ある一定のルールの元では必要悪だったように思います。
ある意味頼りにされていたのかも?
米映画「ゴッドファーザー」でも、みんなから頼られる親分として
描かれていたと思う。(ヤクザを肯定するわけではありません)
でも、現在では全てが悪であり、一度道を外した人は、
世間から疎外され、存在さえ許されないのか?
ヤクザを辞めても5年間は銀行口座も作れない、携帯電話さえ買うことが
出来ない、もちろん職にありつけないなんて、全く知らなかった。
では、どうやって生きて行けばいいのでしょうか?
何でもかんでもネットで叩き、吊し上げる世間の方が怖い!のでは?
もっと色んな人が生きていることを考えらえる世の中を期待したいです。

ギンギンの10代から刑務所帰りの40代までを一気に魅せてくれる
綾野剛が秀逸です。
どうやれば、あんなに役を演じることができるのでしょうか?
もちろん。髪型や服装で違ってくるとは思いますが、
血気盛んで怖いもの知らずの10代、ビシッと決めたスーツ姿が
カッコいいヤクザ時代、刑務所から出てきて、組も崩壊寸前の
しょぼくれたオッサン時代と全くオーラも表情も違っていて、凄い!

また、磯村勇人が、現代の半グレを鮮やかに演じていて、
随分成長されたなーって思いました。(えらそーに)(笑)
登場シーンは一瞬、若き日のケン坊(綾野剛)かと思う程
似ていました。きっと父親のように思っていて真似ていたのでしょうね。
ラスト、ケン坊の娘にお父さんの話しを少し話そうかと笑う
笑顔が可愛くて、明るさを感じました。

舘さんも、渋くて包み込むようなオーラがあり、父親としての
存在感が半端なかった。

前半のヤクザ映画的な抗争シーンでドキドキさせ、
社会的メッセージを含んだ後半でぐっとさせる。
このコントラストが良かったです。
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