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あのこは貴族のmakoのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.0
《同じ空の下、私たちは違う階層(セカイ)を生きているー。》

岨手由貴子監督のオンライントーク付きで鑑賞。監督とシネマモードの岩本氏(映画検定一級)の質疑応答はネタバレになるのでコメント欄にネタバレ表示で書きます。

第一章から第五章で構成されていました。

箱入り娘として何不自由なく成長してきた華子(門脇麦)。20代後半になり、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たさせる。
猛勉強の末に名門大学に入学し、富山から上京した美紀(水原希子)。親の経済状況が悪化し学費が続かなくなり、夜の世界で働くも中退してしまう。

普通なら交わることのない“階層(セカイ)”。
その二人が、良家の生まれである弁護士・幸一郎(高良健吾)を介し、出会い交わることでそれぞれの世界が拓けていく。

富裕層と呼ばれる人たちも案外しんどそう。お金があっても幸せとは限らない、と改めて思った。自由そうで不自由に見えた。
富裕層にもランクがあって、当たり前なんだけど少し新鮮だった。
まぁ、私には到底交わることはない階層なんだけど。

個人的には美紀に近いから美紀の方に共感できた(田舎とか)。頑張って名門大学に入ったのに、内部生と外部生の差に驚いたり、お茶しようと誘われて行ったら4,200円のアフタヌーンティーとか、そりゃ私でも驚くわ。

自分の置かれたセカイしか知らないとそれが普通だと思う。でも、階層が違えばそれは普通ではない。
同じ階層しか知らない人生はつまらない。別の階層を知ることにより世界は広がり、人は成長できるのかも。

本作は華子の成長物語だと思う。
主体性があまりなく、周りの意見に流されていた華子がある決断をする。
前半と終盤では顔つきが変わっていた。

華子の親友・逸子(石橋静河)は好感が持てる女性だった。私もこんな感覚を持ちたいと思った。
美紀の親友・里英(山下リオ)もよかったな。芯のある優しい女性でした。
幸一郎、一見クズ男かと思ったけど幸一郎もしんどい立場だと思った。
幸一郎にとっては美紀は癒やしだったんだろうな。でも女の立場からは許せない。

本作の主要な登場人物に嫌な人がいなかったのはよかった。 分別ある人ばかりで観やすかった。

劇中、印象的だった台詞。
「みんなの憧れで作られている、まぼろしの東京」


原作: 山内マリコ
劇場鑑賞 #53
2021 #63
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