てる

イングリッシュ・ペイシェントのてるのレビュー・感想・評価

3.3
映画館で観たなら寝てたかも。だましだまし観ていたら、思っていたより面白かった。

これは悲恋の物語なのだ。162分の長い時間をかけた壮大な物語だ。
重症の怪我を負った男が失った記憶を思い出すにつれ、物語は進行していく。予め悲恋だとわかっているが、観ているとどうにもざわざわする。
訳あり夫婦の妻と不倫。それは叶うはずのない恋愛なのだが、ラズロはいずれ叶うと思っている。訳あり夫婦なわけで、それを期待してしまうのも無理はない。だが、キャサリンはその間で揺れ動く。訳ありだが、夫婦の中の愛情は確かにあったわけで、それを裏切れず、中途半端になってしまった挙げ句の果てが、旦那の嫉妬による無理心中だ。
色々あったけども、結局は痴情のもつれなわけだ。ラズロはジェフリーがそこまで追い詰めているとは想像もしなかったんだろうねぇ。恋愛の果てが恋人の死ってのは辛いよねぇ。確かに安楽死を求めるのもわかる。生きていたところで寿命はすぐそこだし、ハナにも迷惑がかかるのもわかっているわけで、生きていくのが嫌になってしまうよね。
ハナがラズロに寄せる想いってのは一体どういうものだったのかな。恋愛なのか、同情なのか、看護師としての矜持なのか。まさかキップと恋仲になるとは思ってもなかったけど、きっとラズロを看護している中で心境が変わっていったんだろうなとは思う。

正直な意見を言うと誰にも感情移入出来なかった。でも、彼らの揺れ動いていく感情に無理は感じなかった。それがすごい。やはり名作なのだろう。
でも、原作はもっと長い物語なのだろう。原作はもっと濃厚で重い物語なのは感じる。読みたいとは思わないが興味はそそられる。
てる

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